「へえ、これが仲見世ですか。大層な賑わいですね」
つい先日『松和荘』にやってきたばかりの青年は、あまりの混雑ぶりに目を丸くしている。
「折角だからお参りをしていこう。そのあとで土産を選ぶのを手伝ってくれるかい?」
「
「……下宿の皆に、だよ」
前回は羊羹、その前はかりんとう。どれもさして値の張るものではないが、あの蕩けるような笑顔が見たくて、今日もつい寄り道をしてしまう。
「これなんかどうですか? 浅草の名所を象っているそうですよ」
目の前で次々と焼き上がる菓子に、歓声を上げる子供達。
「連れてきてあげたら、もっと喜ぶと思いますけどね」
「そう、だな……」