「うん、やっぱりここだね」
あれこれ検討した結果、設置場所は裏庭の片隅に並ぶ樫の木に決定した。
木と木の間隔も申し分ないし、何よりここなら台所の窓から様子が窺える。
「どうやって吊るすのですか?」
「まずは木に縄を括り付けるんだよ。ほら、おっさんはそっち側をやってくれ」
「はーい」
樫の幹に縄をしっかりと結びつけ、縄の先を輪っかにしてフックを引っかければ、あっという間に完成だ。
帆布製のハンモックは長く死蔵されていた割に傷みもなく、三人同時に座ってもびくともしなかった。
「これなら大丈夫そうですね」
「うん。ここなら雨が降っても大丈夫だし、これで昼寝がはかどるね」
たとえ昼寝中に天気が急変しても、遙か頭上を覆い尽くす世界樹の枝葉が守ってくれるだろう。
「あんまりはかどってもらっても困るんだけどな」
「まあまあ。オルト君も休みの日はここでのんびりするといいよ」
君は少し働き過ぎだからね、と笑うユージーン。
「ユージーンと足して二で割ったらちょうどいいですね!」
無邪気な言葉に、ぐうたら店主はえへへと笑うだけで言及を避け、うっかり想像力を働かせてしまった勤勉なる配達員は、静かに頭を抱えるのだった。
「……二で割った程度じゃ変わらないだろうな」
「お互いにねー」