最初は焚火。旅の途中、野営するために熾した小さな火。それが私。
火に手をかざして、ふと笑った貴方の優しい瞳に運命を感じたの。
暖かいな、なんて褒めてくれたから、頑張って燃え続けたわ。冷え切った貴方の体と心を、少しでも暖めるために。
お次は角灯。暗い洞窟の奥、不気味な屋敷の地下。宿屋で夜更かしする時も。そっと周囲を照らしながら、貴方の横顔を眺めるのが好きだった。
最後は暖炉。寒さが苦手な貴方は、雪が降る前から暖炉の前に陣取って、頑として動こうとしなかったわね。
「長いこと、世話になったな」
それはこちらの台詞だわ。だって私は貴方の契約精霊。貴方こそが私の存在理由。
命の炎が消えるその時まで、共に在りましょう。